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2014.5.9

『随筆』アメフトでの前十字靭帯断裂の経験

2014.5.9
Category: 随筆 BLOG

 

先週末、関西学院大学アメリカンフットボールグランドへお邪魔する機会がありました。

そこで社会人アメリカンフットボール時代にお世話になったチームDrの方と偶然再会、アメリカへ2年半留学されており帰国直後のA先生と4・5年ぶりの短い会話を楽しんでいると「今日の試合で佐藤と同じ怪我をした高校生がいるから、一声かけてあげて欲しい。」私はもう2008年に前十字靭帯、内側側副靭帯断裂、外側半月板損傷し左膝を脱臼した経験があります。何を隠そう、その時の執刀医がこのA先生でした。

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実際のMRI画像

アスリートにとって怪我は選手生命に関わるものであるのは周知の事実ですが意外と怪我をした瞬間は興奮状態にあり、痛みもそこまでひどくはなく心も比較的安定しています。しかし、帰宅してからの2、3日、それはそれはひどい痛みが襲います。特にこの怪我をすると、膝はぶらぶらなので就寝時少しでも内側の膝が開くような姿勢になると激痛により目覚めます。またトイレに行きたいと思ってから行った、のでは膀胱炎を起こすほど動くたびに痛みがあり、それは心身を制限させる原因となっていきます。

さらに、この怪我が厄介だと思うのは、怪我をしてからすぐ手術しない、ということ。骨折やアキレス腱断裂などの怪我で手術が選択されるとすぐにその治療が始まりますがこの場合、手術する前、準備期間のリハビリが長く、とても重要でそこでいかに『希望ある未来を信じることが出来るか』が選手としての再生に大きく関わると思います。

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社会人復帰後

無茶ぶりやなA先生と思いながら、自分が何を言ってあげたらいいのか・・・・その高校生に会うまでほんの僅かの間、試合前のアメフト用思考を一気に転換させて、自分の結果がその選手に当てはまるとは思えないし、まったく同じ怪我というのはからだは1人1人違うのだからありえないというか、いきなり見ず知らずのおっさんが来てどうなるものでもないだろう。失礼に当たるのではないか?と、あーだこーだと思考していました。

高校生の彼は車の後部座席に座っていて、周りには親御さんや学校関係者がおられました。彼の悲しそうな顔を見て、それま で内心での頭でっかちな思考は吹っ飛び「僕は君と同じ怪我を6年前にしたQBです。必ず怪我する前よりいいプレーが出来るようになるから周りの人と自分を信じてリハビリ頑張れ。絶対大丈夫やから。」と言いました。後々考えると無責任なのかもしれない。ただ頭で考えた言葉ではなく、心が言いたかった言葉であったこと。彼はどう思っていたのかはわかりませんが、結局、人と人を繋ぐ言葉は感情のない頭でっかちの薄っぺらな言葉ではなく、心から相手を想ったり、思いやったりする言葉なのです。そういうものは用意されたものでなくとっさにおこる反応の中にこそ潜んでいる気がします。

その場面作ってくれた純粋なA先生をとても素敵に思えた瞬間でした。名前も何年生かも解らない未来ある高校生フットボーラーの彼がまたフィールドで素晴らしいプレーをする事を祈っています。



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佐藤 正治

佐藤 正治 MASAHARU SATO

Rolf Institute 認定 Rolfer™
& Rolf movement® practitioner
柔道整復師

龍谷大学スポーツサイエンスコース 卒業 / 明治東洋医学院柔道整復学科 卒業 / 米国 Dr Ida Rolf Institute® 卒業 / 日本ロルフィング協会会員